モバイルバッテリーの電池容量と出力可能容量の違い。昇圧ロスとは?

充電器・バッテリー

今回ご紹介する記事は、以下の方に是非とも読んでいただきたいです。

・リチウム式のモバイルバッテリーの購入を検討中の人
・モバイルバッテリーを購入し使用している人

意外と知られていないことが多くあるモバイルバッテリーの世界。

今回は電池容量を目安に商品選定をされている方に、とっておきの情報を分かりやすく解説していきます!

この電池容量だけを見て商品選定をしていると、意外なところで落とし穴が待ち伏せている可能性がありますので。

意外と知らない電池容量と出力可能容量の違い

モバイルバッテリーの商品パッケージには、電池容量が表記されているケースがほとんどです。

自身が持ち合わせるモバイルバッテリーでスマホを充電する際、こんな印象を受けた記憶はありませんか?

思ったよりも充電できないな。

例えば「電池容量10,000mAh」といった表記。

この表記を見て「私のスマホだったら●回分は充電できる」と感じるわよね。

この表記が意外と落とし穴だったりするんだ。

必ずしも「蓄電可能な電池容量=出力(充電)可能容量」とはならないことに注意が必要です。

昇圧ロス

以下のスマホとモバイルバッテリーを持っていたとします。

  • 内蔵バッテリー2,000mAhのスマホ
  • 電池容量10,000mAhのモバイルバッテリー

この組み合わせであれば、単純計算でスマホ5回分のフル充電ができるように思われがちです。

ただし、実際はそこまでの回数を充電することはできません。

簡単に説明すると、以下2つの電圧が異なることが要因です。

・スマホに搭載されているUSB端子の入力電圧
・モバイルバッテリーに内蔵されているリチウム電池の電圧

例えば、以下のようなケース。
スマホの入力電圧が5V、モバイルバッテリーに内蔵されているリチウム電池電圧が3.7Vの場合。

スマホの入力電圧に合わせ、モバイルバッテリーに内蔵されているリチウム電池の電圧を5Vへと昇圧してあげる必要があるのです。

昇圧ロスイメージ

昇圧することにより、モバイルバッテリーに蓄電されている容量をロスしてしまうのです。

これが、今回ご紹介する昇圧ロスによる課題です。

昇圧ロスの目安

実際に出力できる容量は商品によって異なります。

あくまで目安となりますが、モバイルバッテリーの電池容量の60%~70%前後が、実際に充電できる出力容量といわれています。

そのため、確たる目的をもって「10,000mAh」のモバイルバッテリーが必要と考える人は、昇圧ロスを考慮して商品選定を行う必要があります。

「10,000mAh」の出力容量が必要だという人。
そんな人は、3~4割ほど大きめの電池容量を搭載したモバイルバッテリーを購入した方が間違いありません。

購入前に出力可能な電池容量を確認する方法はあるの?

パッケージに蓄電可能な電池容量の表記がある商品は多く見受けます。

しかし、昇圧を考慮した出力可能容量を表記した商品はほとんど見かけることがありません。

そのため、我々消費者が購入前に事前確認することが難しい現状となっています。

なぜ昇圧ロスを考慮した容量を表記しないの?

出力可能な電池容量もあわせて表記すること。
これが、消費者目線に立ったパッケージだということはメーカーも重々承知しているかと思います。

すべてのメーカーが、ある指針の下に一斉に出力可能容量を表記するようになれば問題ないのかもしれません。

しかし、現状はそういった制約がパッケージ作成の上で存在しません。

そのため、消費者目線に立って出力可能容量を表記したメーカーと、電池容量自体を表記したメーカーとでは、消費者に与えるインパクトが異なるといった問題が生じるのです。

おそらく、昇圧ロスを理解している方は少ないはず。
店頭販売されている以下2つの商品があったとします。
この記事を読む前の皆さんなら、どちらの商品を選びますか?

※商品価格、サイズ、スペックがすべて同じ条件
A商品:電池容量10,000mAh
B商品:出力容量6,000mAh

どちらを選ぶかイメージ

大抵の人はAの商品を選ぶかと思います。

B商品がそれぞれの容量を表記してあったとしても、「なぜ6,000mAhしか出力できないの?」といった疑問が生じやすくなると思います。

なかなか難しい問題ですね。
業界団体などが動き、我々消費者が購入前に判断しやすい表記ルールが定まれば嬉しいですね。

仮にこのままの表記が続いたとしても、我々消費者がこういった点を理解していれば、無駄な買い物や実用感で損をすることは少なくなっていくでしょう。

モバイルバッテリーを購入する際に少しだけ意識してみてください。
容量を重視して選定する人にとっては重要なポイントになるはずです。

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