今となっては数多くの方がリチウム式のモバイルバッテリーを持つ時代となりました。
モバイルバッテリーを購入するにあたり、どういった点に気を付けて商品選定をされていますか?
おそらく価格やデザイン、充電容量などではないでしょうか?
そういった商品情報よりも、もっと手前の段階でふるいにかけなければならない確認事項があります。
それは、電気用品安全法という法律に関連する重要な内容です。
今回はその内容について詳しくご紹介していきます。
電気用品安全法の一部改正とPSEマークについて
2018年2月1日、経済産業省が電気用品安全法に関する「電気用品の範囲等の解釈について」を一部改正し、「ポータブルリチウムイオン蓄電池」が新たな対象として含まれるようになりました。
この「ポータブルリチウムイオン蓄電池」には、いわゆるスマートフォンの充電用途として急速に普及しているモバイルバッテリーが含まれます。
一年間の経過処置期間を経て、2019年2月1日以降は「技術基準」を満たしたモバイルバッテリー以外は製造・輸入及び販売ができなくなりました。
電気用品安全法に基づく「技術基準」を満たした商品であるか否かが重要な判別ポイントとなります。
また、 「製造又は輸入する者」は、必要書類の申請及び保管、技術基準への適合確認や完成品の全数検査なども必要となります。
判別方法
我々消費者は、「技術基準」を満たしている商品をどう見抜けばいいのでしょう?
そんな方のために、簡単な判別方法を紹介します。
商品本体に「PSEマーク」が表示されているかどうか、これだけです。
今回の改正に伴い、以下の条件が満たされている場合に限り、PSEマークの表記が認められます。
・電気用品安全法に基づき「技術基準」を満たしている。
・「製造又は輸入する者」が、必要書類の申請及び保管、適合確認や全数検査などを実施。
このPSEマークは本体への表記が義務付けられているため、パッケージへの表示義務はいまのところありません。
ただし、然るべきメーカーの商品であれば、大抵はパッケージにその旨の記載があります。
例えば、以下のような表記例が考えられます。
- PSE認証
- 電気用品安全法準拠
消費者目線に立ち、買い手が判別付きやすいようにパッケージ上も工夫を施しているメーカーの商品を選ぶのもポイントの一つです。
また、ネット通販の場合は説明書きや仕様欄にPSEに言及している商品を選ぶようにしましょう。
PSEマークの種類
PSEマークと一言で済ましてしまうのもよろしくないですね。
何と、PSEには現在2種類のマークが存在します。
ひし形PSE マーク
電源タップやACアダプター等、 高い安全性が要求される電気用品は「特定電気用品」 に位置付けられ、該当される商品に対して「ひし型のPSEマーク」の表示が必要となります。
※2019年4月26日時点で全116品目
まる形PSEマーク
「特定電気用品」には区分されないものの、事故の危険性がある「電気用品」は「特定電気用品以外の電気用品」として指定され、「まる形のPSEマーク」の表示が必要となります。
※2019年4月26日時点で全341品目
今回規制の対象となったポータブルリチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリー等)は、「特定電気用品以外の電気用品」に分類され、まる形PSEマークの表示が必要となりました。
今回の電気用品安全法の一部改正については、以下の経済産業省のHPをご参照ください。
・ポータブルリチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリー)が電気用品安全法の規制対象となります
・モバイルバッテリーに関するFAQ
規制前に購入した商品は今も使っていいの?
結論からいうと、そのまま使い続けていただいて問題ありません。
今回の法改正は、2019年1月31日以前に購入した商品は対象外のためです。
※厳密にいうと、2018年2月1日から法改正がされているため、2019年1月31日から遡ること1年の間は、経過処置期間のため販売が許されていました。
商品にもよりますが、改正前は「技術基準」をクリアしているものとしていないものが市場に出回っていました。
それを、一消費者がどちらに該当する商品なのかを調べようと思ってもなかなか難しいですよね。
また、2018年2月に法改正の方針が発表されてからの1年間の経過処置期間は、いろんなメーカーが安売りを開始してとんでもない安値でモバイルバッテリーを購入できる時期がありました。
2019年2月以降は「技術基準」を満たしていない商品を一切販売できなくなるため、経過処置期間中に現金化しようと考えるのは企業としては当たり前のことなのかもしれません。
PSEマークの無いモバイルバッテリーをお持ちの方へ注意
これからフリマやオークション、個人売買などでPSEマーク無しのモバイルバッテリーを販売した場合、あなたが処罰の対象になります。
改正前に購入したものを自分でどう使おうが問題ありませんが、販売となると話は別です。
ここだけはしっかりと注意しておきましょう。
なぜ法改正が必要になったの?
製品評価技術基盤機構が発表した製品事故情報によると、ノートパソコン、モバイルバッテリー及びスマートフォンに搭載されたリチウムイオンバッテリーによる事故が増加傾向にあったそうです。
平成24年度~平成28年度の5年間に、なんと274件も!
その内訳は以下のとおりです。
- ノートパソコン110件
- モバイルバッテリー108件
- スマホ56件
特にモバイルバッテリーの事故増加率は深刻で、平成24年度19件、平成26年度48件、平成28年度108件と年々大幅に増加していたのです。
被害状況別に見ても、全体の約7割が火災等の拡大被害に至っています。
把握されているだけでも上記の数ということなので、実際にはもっと多くの事故が発生していた可能性もあります。
スマートフォンの多様化や使用頻度の増加が年々進むなか、外出先でも充電ができるリチウム式のモバイルバッテリーの需要も比例して年々増加していきます。
急速な普及とともに、粗悪品なども多く市場に出回る結果となり、国が動き法改正がなされたという見解が一般的と考えます。
モバイルバッテリーが発火し、走行中の新幹線が停止したなどのニュースも見聞きする昨今において、こういった法規制は時代に合わせて必要な処置だったということでしょう。
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