USBとは、「Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略称であり、電子機器同士を接続するための規格の一つです。
最初のUSB規格となった「USB 1.0」は1996年に登場しました。
その後、新たなUSB規格が次々と発表され、スペックや利便性も飛躍的に向上していきます。
USB規格は理解した方がイイ!
USBの発展が進む一方で、スペックや名称が年々複雑になっていき、歴代のUSB規格を正しく認識できる人が比較的少ない現状も発生しています。
USB規格を正しく理解できないと、以下のような無駄が生じる可能性があります。
・必要以上に高価(ハイスペック)な周辺機器を購入してしまう。
・ホスト機器のスペックを活かせない周辺機器を購入してしまう。
例えば、スマホからパソコンに写真や動画などのデータを転送する際、スマホやパソコン以上のスペックを持ち合わせる高価なケーブルを購入しても、データ転送速度はスマホやパソコンに依存(下位互換)することになりますので、無駄な出費となってしまいます。
また、最新のパソコンから最新の外付けHDDなどに写真や動画などのデータを転送する際、低スペックなケーブルを購入してしまったら、データ転送速度は低スペックなケーブルに依存(下位互換)することになってしまいます。
こういった無駄をなくすには、USB規格を正しく理解する必要があります。
それでは、歴代のUSB規格から最新のUSB4までの情報を分かり易く解説していきます!
USB 1.0
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
1996年1月 | 12Mbps | Type-A / Type-B |
1996年1月発表。
データ転送速度は最大12Mbps。
主な用途はキーボードやマウスなど。
いまとなっては見かけることも難しいでしょう。
USB 1.1
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
1998年9月 | 12Mbps | Type-A / Type-B |
1998年9月発表。
データ転送速度は最大12Mbpsで「USB 1.0」と変更はありません。
主な用途はキーボードやマウス、低速メモリ機器などに使用されており、「USB 1.0」と比較して大きな変化はありません。
USB 2.0
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
2000年4月 | 480Mbps | Type-A / Type-B |
2000年4月発表。
データ転送速度は最大480Mbpsで、「USB 1.1」と比較し飛躍的に機能が向上 。
高速USBメモリや外付けHDD、スキャナなど幅広い機器に採用されるようになりました。
また、「Mini USB」や「Micro USB」といったType-Bシリーズの新たなコネクタも登場していきます。
※コネクタ形状とUSB規格は必ずしも連動しませんので、コネクタ形状の情報は参考までに。
USB 3.0
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
2008年11月 | 5Gbps | Type-A / Type-B |
2008年11月発表。
データ転送速度は最大5Gbpsで、「USB 2.0」と比較し10倍以上に向上 。
高速HDDなど、高いデータ転送速度が求められる機器に採用されるようになりました。
「USB 2.0」と区別できるよう、コネクタ部分が一部青色となっている場合があります。
また、「Micro USB(3.0)」といったType-Bシリーズの新たなコネクタも登場していきます。
※コネクタ形状とUSB規格は必ずしも連動しませんので、コネクタ形状の情報は参考までに。
USB 3.1 Gen 1
2013年8月発表。(名称変更)
「USB 3.0」の名称が、「USB 3.1 Gen 1」へと変更されました。
機能は同じで名称のみ変更と考えてください。
よって、「USB 3.1 Gen 1( USB 3.0)」と表現していることもあります。
個人的にも当初は困惑しましたが、いまだにそれぞれが別物と思っている方も多いです。
「Gen」とは、「Generation(ジェネレーション)」の略です。
認知度などの問題もあり、この「Gen 1」部分の名称まで喋っている人はあまり見かけませんが、「ジェンワン」「ジェネワン」と言っておけば店員さんには伝わるはずです。
また、USB 3.1の発表後、新たなUSB形状「USB Type-C」が発表されました。
※コネクタ形状とUSB規格は必ずしも連動しませんので、コネクタ形状の情報は参考までに。
USB 3.1 Gen 2
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
2013年8月 | 10Gbps | Type-A / Type-B / Type-C |
2013年8月発表。
データ転送速度は最大10Gbpsで、「USB 3.1 Gen 1」と比較し2倍向上 。
動画や高容量ファイルの転送時に大活躍する進化を遂げます。
USB 3.2 Gen 1
2017年7月発表。(名称変更)
「USB 3.0」の名称が、「USB 3.1 Gen 1」へと変更されましたが、さらに名称が変更になります。
「USB 3.1 Gen 1」から「USB 3.2 Gen 1」への名称変更です。
機能は同じで名称のみ変更と考えてください。
かなり複雑になってきましたが、以下の順に名称変更されています。
「USB 3.0」→「USB 3.1 Gen 1」→「USB 3.2 Gen 1」
USB 3.2 Gen 2
2017年7月発表。(名称変更)
「 USB 3.1 Gen 2」の名称が、「USB 3.2 Gen 2」へと変更されました。
機能は同じで名称のみ変更と考えてください。
USB 3.2 Gen 2×2
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
2017年7月 | 20Gbps | Type-A / Type-B / Type-C |
2017年7月発表。
データ転送速度は最大20Gbpsで、「USB 3.2 Gen 2」と比較し2倍向上 。
ただし、最大20Gbps対応となるにはある条件が必要です。
「USB 3.2 Gen 2×2」の実力を発揮するには「USB Type-C」しか対応できないという点です。
「USB Type-C」は2レーンの高速チャネルを使用することで、転送速度が最大20 Gbpsとなります。構造的にこれを実現できるのは、いまのところ「USB Type-C」のみとなります。
USB4
発表日 | 最大データ転送速度 | 形状 |
2019年(予定) | 40Gbps | Type-A / Type-B / Type-C |
2019年3月概略発表。(詳細は2019年中に公開予定)
「USB4」はインテルの「Thunderbolt 3」の仕様がベースとなり、最大40Gbpsのデータ転送速度となる見込みです。
「USB 3.2 Gen 2×2」同様、最大データ転送速度を引き出す条件として「USB Type-C」の利用が前提となる見込みです。
※上記表で解説した「形状」項目は、変換アダプタなどを使用した場合の下位互換は含まないものとする。
USB規格早見表
大丈夫ですか?
初めて見聞きする方はかなり混乱されていると思います。
先に述べた歴代のUSB規格を分かり易く表にしてみましたのでご覧ください。
規格名 | 旧ネーム | 最大データ転送速度 |
USB 1.0 | ― | 12Mbps |
USB 1.1 | ― | 12Mbps |
USB 2.0 | ― | 480Mbps |
USB 3.2 Gen 1 | ・USB 3.0 ・USB 3.1 Gen 1 | 5Gbps |
USB 3.2 Gen 2 | ・USB 3.1 Gen 2 | 10Gbps |
USB 3.2 Gen 2×2 | ― | 20Gbps |
USB4 | ― | 40Gbps ※詳細は正式発表待ち |
まとめ
「USB Type-C」を使用すれば、「データ転送速度や給電能力が向上する!」といった言葉を見聞きする機会が増えました。
たしかに最新のUSB規格のスペックを実現させるには「USB Type-C」端子が必要不可欠です。
ただし、全ての「USB Type-C」が最新USB規格のスペックを満たしているわけではありません。
例えば、「USB 2.0」規格の古いケーブルに、「USB Type-C」の変換アダプタを装着して通信させた場合、 「USB 2.0」規格のスペックへ下位互換するのです。
また、片方のコネクタが「USB Type-C」で、その逆側のコネクタが「Type-A(USB 2.0)」であるケーブルがあった場合も同じことがいえます。
そのため、データ転送速度などを比較したい場合はコネクタ形状のみならず、USB規格まで確認していく必要があるのです。
コメント